
スズキの新型クロスビー。私自身、25年2月に旧型クロスビーを購入したばかりの現役オーナーであり、前回も比較記事を書かせて頂きました。ただ、「果たして実際に乗ってみたらどうなのか?」という気持ちを抑えられず、スズキアリーナあざみ野店様のご厚意により、新型モデルに試乗して参りました。
この記事では、旧型を愛用しているオーナーだからこそ気づく細かな変更点や、進化したポイントを深く掘り下げていきます。「デザイン」「走り」「セーフティ」「快適性」「経済性」という5つのテーマに沿って、私が思わず「悔しい!」と唸ってしまった、新型クロスビーの実力をご覧ください。旧型からの乗り換え、若しくはコンパクトSUVを新規検討中の方で、特に下記を意識する方には新型クロスビーをオススメします。
新型クロスビー試乗の概要【旧型オーナーが徹底比較】
今回、私がステアリングを握らせていただいたのは、新色のミスティックブルーが鮮やかな「HYBRID MZ 4WD」モデルです。試乗コースは市街地から少し起伏のある郊外路まで、日常的な利用シーンを想定したルートです。

今回試乗の応対をしてくださったスズキアリーナあざみ野店の営業担当の方は、旧型購入時にもお世話になった方です。旧型オーナーである私の細かい質問にも、すべて的確に、そして誠実に答えてくださる知識の豊富さにはいつも感心させられます。車種の特徴を深く理解されているだけでなく、ユーザーに寄り添う姿勢から得られる質の高いディーラー体験も、私がスズキというブランドに信頼を寄せる大きな理由の一つです。
【進化ポイント1】洗練されたエクステリアと上質なインテリア
まず、実車を目の当たりにして心を揺さぶられたのが、内外装デザインの大幅な質感向上でした。クロスビーらしい遊び心や愛嬌のあるシルエットは継承しつつも、細部にわたって上質さと洗練さが加えられ、明らかにワンランク上のコンパクトSUVへと昇華していました。
よりスタイリッシュに!心惹かれるエクステリアデザイン
エクステリアは、キープコンセプトでありながら、細部のデザイン変更によって全体の印象が大きく変わりました。
新色「ミスティックブルー」の魅力は、言葉で説明するよりも、ぜひ実車で確かめていただきたいところです。光の当たり方によって深みのあるネイビーにも、鮮やかなブルーにも見えるため、スタイリッシュだしオシャレと感じました。正直なところ、もし購入時にこの色があったならば、私はアイボリーではなくミスティックブルーにしたでしょう。


そして、フロントマスクの印象を決定づけるヘッドライトは、クロスビーのアイコンでもあった丸目のデザインから、少しエッジの効いた角ばった形状へと変更されました。個人的には、あの愛嬌のある丸目もクロスビーらしさの象徴でそこが購入の決め手にはなったのですが、新型のシャープな眼差しはクールで引き締まった印象です。


一方で、ヘッドライトがスタイリッシュになった分、足元には新たな遊び心が加えられていました。新デザインのアルミホイールは、非常に凝ったデザインで、車全体の質感を高めています。例えるならば、びしっと決めたスーツの袖口から、お洒落なカフスがちらっと見えているような感覚です(なんとか伝えたい)。シンプルに言えば、かっこよくなったけども相変わらず遊び心あるなーという感想です。



高級感と利便性がアップしたインテリア
ドアを開けて乗り込むと、まず目に付くのが、センターコンソールのデザイン変更です。新型では上下に分かれた2段式のデザインが新設されています。これにより、スマートフォンや小物を置くスペースが格段に増え、収納の利便性が飛躍的に向上しています。旧型乗車中に、稀に狭い駐車場で助手席側から乗り降りすることがありますが、本当にレアケースなので、ウォークスルー性能よりも、日常的に享受できる収納力アップの恩恵の方がはるかに大きいと感じました。我が愛車の旧型クロスビーのセンターポケットにはヤドンが鎮座しております。


次に、ドアの内張りに手を触れてみると、その質感の違いにハッとさせられます。旧型ではオプションのアップグレードパッケージであったブラウンのアクセントカラーが標準装備となり、しっとりとしたスエード調の生地が使用されています。プラスチックの質感が目立った旧型と比較すると、その差は歴然です。写真に影が入ってしまい申し訳ありませんが、高級感が格段に増し、車内で過ごす時間の質を高めてくれる、非常に効果的なアップグレードだと言えます。


そして、後部座席側ですが、子育て世代にとっては見逃せない嬉しい進化点があります。旧型から好評だった折り畳み式のパーソナルテーブルはそのままに、なんと新たに「タブレットストッパー」が設けられたそうです。これがあれば、長距離ドライブの際にお子様に動画を見せる時も、専用のタブレットホルダーを別途購入する必要がありません。こうした細やかな配慮は大変ありがたいですね。
【進化ポイント2】走りの進化:CVT採用で滑らかさと力強さを両立
デザインの進化に心を奪われましたが、走りに関しても大きな変革がありました。特にトランスミッションが従来の6ATから新開発のCVTに変更されたことは、走行フィールに劇的な変化をもたらしています。
CVTがもたらす滑らかな発進と加速フィール
アクセルペダルをゆっくりと踏み込むと、新型クロスビーは驚くほど滑らかに発進します。これは、無段階で変速を行うCVTの大きなメリットです。旧型のATもスムーズではありましたが、発進時や変速時にはどうしても僅かなショックを感じることがありました。実際に私の妻も、「発進の時に少しガクンとなるのが気になる」と話していたほどです。しかし、新型のこのスムーズさは、そうした不満を完全に解消してくれます。エンジンの回転が最も効率の良い領域を保ったままシームレスに速度が乗っていく感覚は、街乗りでの快適性を大きく向上させていました。

一方で、力強い加速感が魅力だった旧型と比べると、グンと背中を押されるような感覚は少しマイルドになった印象を受けます。しかし、試乗中に勾配のきつい坂道を走行する場面がありましたが、アクセルを踏み増すと力強く駆け上がり、パワーが足りないと感じる瞬間は皆無でした。滑らかさと力強さ、この二つの要素を高い次元で両立させているのが、新型のパワートレインの真骨頂です。
2WDにも搭載!選べるドライブモード(スノー・スポーツ)
そして、走りの進化におけるもう一つの大きなトピックが、ドライブモードの拡充です。これまで4WDモデルの専用装備だった「スポーツモード」と「スノーモード」が、なんと2WDモデル(MZ)にも搭載されたのです。これは、クロスビーの走行性能を大きく引き上げる画期的な改良と言えるでしょう。
路面状況に応じて最適な走りを選択できるようになったことで、新型クロスビーはオールラウンド性能に一層磨きをかけました。

【進化ポイント3】セーフティの進化:先進安全技術で格段に向上した安全性
今回のビッグマイナーチェンジで最も目覚ましい進化を遂げたのが、先進安全性能の分野かもしれません。搭載されるセンサーが一新され、それに伴い各種機能の検知範囲や精度が飛躍的に向上しました。「スズキ セーフティ サポート」はドライバーにこれまで以上の安心と安全を提供してくれます。
検知範囲と精度が向上した先進のセンシング技術
新型クロスビーには、フロントのセンサーとして、従来の「デュアルカメラブレーキサポート」に代わり、より広角で高精度な「単眼カメラ」と「ミリ波レーダー」を組み合わせたシステムが採用されています。この変更により、前方の車両や歩行者に加え、自転車や自動二輪車の検知も可能になりました。


さらに、夜間の歩行者検知性能も大幅に向上しており、昼夜を問わずドライバーの認知をサポートしてくれます。また、後退時の安全性を高める「リヤパーキングセンサー」に加え、後方左右から接近する車両を検知する「後退時車両検知警報(リヤクロストラフィックアラート)」の検知範囲も、左右約20mまでワイドになっていまく。駐車場からバックで出る際など、見通しの悪い状況でのヒヤリハットを未然に防いでくれる、非常に心強い機能です。
死角をカバー!サイドミラーのブラインドスポットモニター
試乗中にサイドミラーにオレンジ色のランプが点灯したことで、その存在に気づいた機能があります。それが「ブラインドスポットモニター(車線変更支援機能)」です。隣の車線を走る車両を検知すると、ミラーに内蔵されたLEDが点灯し、ドライバーに注意を促します。さらに、その状態でウインカーを操作すると、インジケーターの点滅とブザー音で警報を発してくれるため、接触事故のリスクを大幅に低減できます。雨の日や夜間など、視界が悪い状況では特にそのありがたみを実感するでしょう。これは旧型にはなかった機能であり、安全運転を強力にサポートしてくれる、地味ながら非常に価値のある進化です。

標識検知機能で見落とし防止
運転に集中していると、つい見落としがちなのが道路標識です。新型クロスビーは、フロントカメラが走行中に「最高速度」「はみ出し通行禁止」「一時停止」「車両進入禁止」といった重要な標識を認識し、メーター内のディスプレイに表示してくれます。試乗中も、「この道は40km制限ですよ」という表示がタイムリーに現れ、速度管理に役立ちました。さらに、設定によって最高速度を超過した場合にアラート音で知らせることも可能です。うっかりミスによる速度超過や交通違反を防ぐだけでなく、初めて通る道でも安心して運転できるこの機能は、すべてのドライバーにとって大きなメリットとなるはずです。
【進化ポイント4】快適性の進化:最新インフォテインメントと便利な機能
ドライバーが毎日触れ、目にする部分も、最新のテクノロジーによって格段に快適で使いやすいものへと進化していました。運転の楽しさを演出するだけでなく、日々のちょっとしたストレスを軽減してくれる細やかな配慮が随所に光ります。
視認性抜群!デジタル化されたタコメーター
エンジンを始動してまず気づくのが、メーターパネルのデザインが一新されていることです。特に、マルチインフォメーションディスプレイ内には、新たにデジタルグラフィックによるタコメーターが表示されるようになりました。走行モードの切り替えや安全機能の作動状況などもここに分かりやすく表示されるため、ドライバーの視認性が向上しています。この先進的なインターフェースは、新型クロスビーに乗るたびに小さな喜びを感じさせてくれることでしょう。


運転が楽になる電動パーキングブレーキ
これまで足踏み式だったパーキングブレーキは、指先一つで操作できる電動式へと進化しました。センターコンソールのスイッチを引き上げれば作動し、押し下げれば解除できます。さらに便利なのが、オートモードです。パーキングブレーキ中も「D」レンジなどに入れてアクセルペダルを踏むと自動でブレーキが解除されます。発進のたびにパーキングブレーキを解除するという一連の動作が不要になるだけで、運転のストレスは軽減されますね。
【オプション】未来感あふれるヘッドアップディスプレイ
そして、今回のビッグマイナーチェンジで新たにオプション設定されたのが「ヘッドアップディスプレイ(HUD)」です。これは、速度やナビゲーションのルート案内、先進安全機能の警告といった運転に必要な情報を、フロントガラスの前方にカラーで投影するシステムです。ドライバーは視線を前方に向けたまま、必要な情報を自然に確認できるため、脇見運転のリスクを減らし、安全運転に大きく貢献します。テクノロジーの進化をダイレクトに感じられる、魅力的なオプションです。
【進化ポイント5】経済性の進化:燃費向上は自動車税アップを上回る?
アクティブに使えるクロスビーだからこそ、日々の維持費、特に燃費や税金は気になるポイントです。新型クロスビーは、排気量が従来の998ccから1197ccへと変更されたことに伴い、自動車税に変化がありました。しかし、それを補って余りあるほどの燃費性能の向上を実現しています。
燃費が大幅向上!WLTCモード22.8km/Lの実力
まず、税金についてですが、排気量が1.0L以下から1.0L超1.5L以下の区分に変わったため、年間の自動車税は25,000円から30,500円へと、5,500円の増額となります。この数字だけを見るとデメリットに感じるかもしれません。しかし、2WDモデルのWLTCモード燃費を比較すると、旧型の18.2km/Lに対し、新型は22.8km/Lへと、実に25%以上も向上しているのです。この燃費性能の向上は、日々のガソリン代という形で、税金の増額分を十分に相殺してくれる可能性を秘めています。
【コスト比較】燃費向上分で自動車税の増額はカバーできるのか?
ここで、私の実際の使用状況を基に、どれほどの経済的メリットがあるのかを試算してみました。私は旧型クロスビーを今年の2月に購入してから10ヶ月間で約4300kmを走行し、その間のガソリン代は合計で約48,000円でした。平日は妻が街乗りで使い、週末は少し遠くの公園へ出かける、そして連休には往復300km程度の小旅行をするといった使い方です。もし、この使い方を燃費が1.25倍向上した新型クロスビーで行ったと仮定すると、ガソリン代は単純計算で約38,400円に抑えられます。つまり、10ヶ月で約9,600円の節約になる計算です。これを年間に換算すれば、自動車税の増額分である5,500円を上回る経済的メリットが生まれる可能性が高いと言えます。もちろん、これは走行距離や運転の仕方、ガソリン価格の変動によって結果は変わるため、あくまで一つの理論値ですが、多くの場合において、燃費の恩恵は税金の負担増を十分にカバーしてくれるのではないでしょうか。
まとめ:旧型オーナーも悔しがる!新型クロスビーは「買い」なのか?
一通り試乗を終えて、私が抱いた率直な感想は、「悔しい、素晴らしい進化だ」というものでした。デザイン、走り、安全性、快適性、そして経済性。その全てにおいて、新型クロスビーは旧型を明確に上回り、コンパクトSUVというカテゴリーの中でその存在感をさらに強固なものにしていました。
滑らかなCVTを採用しながらも、「スポーツモード」によって走りの楽しさを失わない絶妙なバランス感覚。ミリ波レーダーの追加によって格段に高められた安全性能。そして、日々の満足度を高める上質なインテリアと便利な機能たち。取り回しのしやすいコンパクトなサイズ感というウリはそのままに、これだけの機能進化を遂げたため、旧型オーナーとしてはシンプルに乗り換えたいと感じました。資金的体力はそこまで無いので我慢するしかないのですが。。。
旧型よりもベースコスト(前回記事参照)は上がってはいるものの、それを補って余りある魅力的な進化を遂げています。もし私が、新型がリリースされたこのタイミングで旧型と比較検討していたならば、迷うことなく新型を選びます。それほどまでに、今回のビッグマイナーチェンジは魅力的で、説得力のあるものでした。
新型クロスビーはこんな人におすすめ!
今回の試乗を通して、新型クロスビーは特に次のような方に強くおすすめできると感じました。
これらの一つでも当てはまるのであれば、新型クロスビーはきっと最高のパートナーになってくれるはずです。
まずは試乗で進化を体感しよう!
この記事では、旧型オーナーの視点から新型クロスビーの魅力を可能な限り詳しくお伝えしてきましたが、その本当の実力は、実際にステアリングを握ってこそ実感できるものです。カタログのスペックや写真だけでは伝わらない、滑らかな走り出しや、インテリアのしっとりとした手触り、そして先進安全機能がもたらす安心感を、ぜひご自身で体感してみてください。幸い、スズキの公式サイトから試乗予約は簡単に行えます。少しでも興味を持たれたなら、まずはオンライン予約し、お近くの販売店で試乗をオススメします。



