
大ヒット作『僕だけがいない街』を読み終えて、「感動が忘れられない!」「この作者さんの他の作品も読んでみたいけど、どれが面白いの?」と探していませんか?三部けい先生の作品ならきっと外れはないはず…そう思っても、いざ書店や電子書籍ストアで見ると、選択肢が多くて迷ってしまいますよね。
ご安心ください。三部けい先生は、『僕だけがいない街』以外にも、設定の面白さや緻密な心理描写で読者を魅了する傑作を多数生み出しています。
この記事では、『僕だけがいない街』の感動を胸に次に読むべき、三部けい先生の他の作品の中でも特におすすめの傑作3選を、その魅力とあらすじと共にご紹介します。
初めに:漫画家・三部けい先生のプロフィールと経歴
『僕だけがいない街』という不朽の名作を生み出した作者、三部けい先生。私はアニメから入りましたが、一体どのような経歴を持つ漫画家なのでしょうか。その魅力の源泉を探るべく、プロフィールと経歴を深掘りしていきましょう。作品の背景にある作者の人物像を知ることで、物語をより一層深く味わうことができます。
あの『ジョジョ』の荒木飛呂彦先生の元アシスタント!
驚くべきことに、三部けい先生は『ジョジョ』で世界的に有名な荒木飛呂彦先生の元でアシスタントをされていた経験があります。『僕だけがいない街』がアニメ化などで大きな注目を集めた際、多くのインタビューで先生自身がこの貴重な経験について語っています。荒木先生といえば、キャラクターのダイナミックなポージングが特徴ですが、三部先生はその中で主に背景作画を担当していました。師である荒木先生の描く躍動感あふれる構図に対して、その世界観を壊さず、かつ整合性を取った緻密な背景を描き続ける日々。その中で、自然と背景描写や俯瞰で捉える構図の技術が向上したそうです。『僕だけがいない街』で見た、雪深い北海道の街並みや緊迫したシーンの背景が、あれほどまでにキャラクターの心情や物語の緊張感を高めていたのは、このアシスタント時代の経験に裏打ちされた確かな画力があったからなのかもしれません。
インタビュー記事:「このマンガがすごい!WEB」
作風の原点と幅広いジャンルへの挑戦
『僕だけがいない街』の作者として広く知られる三部けい先生ですが、実はそれ以前にも多岐にわたるジャンルの漫画を執筆されています。デビュー初期には日常系の作品なども手掛けており、また、もともと江戸川乱歩などの推理小説を愛読していたそうです。学生時代に多くの人が読んだであろう山田悠介氏のサスペンスホラー小説『パズル』のコミカライズを担当した経験もあります。幅広いジャンルへの挑戦を経て培われた表現力が、現在の「三部けいワールド」とも言うべき、深い人間ドラマを内包したサスペンス作品群の礎となっているのではないでしょうか。
【厳選】『僕だけがいない街』の次に読むべき三部けい他作品3選
お待たせしました。ここからは、『僕だけがいない街』を読み終えたあなたの心に響くこと間違いなしの、三部けい先生の傑作を3作品、厳選してご紹介します。私は全て読んでおりますが、どれも甲乙つけがたい名作ばかりです。
1. 家族の絆と復讐を描く壮絶サスペンス『夢で見たあの子のために』

あらすじ
物語は、5歳の頃に起きたある凄惨な事件から始まります。その事件によって両親及び双子の兄を失い、自らの人生をめちゃくちゃにされた主人公。事件から13年の時が経ち、彼はただ一つ、兄を殺した犯人への復讐を誓い、荒んだ高校生活を送っていました。犯人の手がかりを追い求める中で、主人公は事件の裏に隠された、衝撃的な真実へとたどり着いていきます。
おすすめポイント
『僕だけがいない街』が親子と友人の深い愛情を描いた物語であるならば、この『夢で見たあの子のために』は、双子の兄弟が抱く強く、そして切ない絆を描いた物語と言えるでしょう。復讐という非常に重いテーマを扱いながらも、その根底に流れる家族への消えることのない想いに、何度も胸を打たれます。もちろん、「犯人は誰なのか」というミステリー要素も秀逸で、特に終盤のクライマックスから最終ページにかけての展開は、感動で鳥肌が立つほどです。30代のおっさんである筆者も思わず涙が出そうになりました。全11巻で完結しており、読みやすい巻数であることも魅力です。
2. 未来からの警告?新感覚タイムリープミステリー『13回目の足跡』

あらすじ
小学校教師として平凡な日常を送っていた主人公。しかしある日、彼のもとに未来に起こる出来事を正確に予言する、差出人不明の不可解なハガキが届き始めます。最初は誰かの悪質ないたずらだと取り合わなかった主人公ですが、ハガキに書かれた事件が次々と現実のものとなってしまいます。彼は、まだ見ぬ未来の悲劇を食い止めるため、この謎のハガキに隠された真実に挑むことを決意します。
おすすめポイント
この作品の面白さは、『僕だけがいない街』の「リバイバル(再上映)」とは一味違う、新しい形のタイムリープ要素にあります。主人公自身が過去に戻るのではなく、「未来を知る何者か」が送ってくる断片的なメッセージを元に、現在地から未来を変えようと奮闘するのです。なぜハガキが届くのか、その送り主は一体誰で、何を目的としているのか。謎が謎を呼ぶスリリングな展開に引き込まれること間違いありません。現在連載中の作品(最新6巻)なので、物語の結末を予想しながら最新刊の発売を心待ちにするという、リアルタイムのワクワク感も味わえます。
3. 心と体が入れ替わるクライムサスペンス『水溜りに浮かぶ島』

あらすじ
妹思いで心優しい小学生の少年はある日、残忍な犯罪者として追われる男と体が入れ替わってしまうという、信じがたい事件に巻き込まれます。大人の犯罪者の肉体を手に入れてしまった主人公は、ただひたすらに妹を危険から守るために必死で行動します。一方、主人公の体を手に入れた犯罪者側にも、彼を犯罪に駆り立てた複雑で悲しい過去が隠されていました。
おすすめポイント
「入れ替わり」というフィクションの王道ともいえる設定を使いながら、息苦しいクライムサスペンスと、胸を締め付けられる感動的な兄妹愛を描き切った意欲作です。主人公の小学生が、大人の犯罪者の体という絶望的な状況下で、知恵と勇気を振り絞って妹を守ろうとする健気な姿には何度も胸を打たれました。物語が進むにつれて、単なる悪役だと思われていた犯罪者の人間的な側面や過去が明らかになり、物語に一層の深みを与えています。全5巻で完結しているため、非常にテンポよく物語を追うことができ、サクッと傑作に触れたい方にも心からおすすめできる一冊です。
まとめ:忙しい大人にこそ読んでほしい!三部けい作品で極上の読書体験を
今回は、『僕だけがいない街』の作者である三部けい先生のプロフィールや作品に共通する魅力、そして次に手に取るべきおすすめの傑作3選をご紹介しました。
三部けい先生の作品は、読者の予想を裏切る巧みな伏線と先の読めないサスペンス、そして極限状況下で心を揺さぶる感動的なヒューマンドラマ、この二つの要素が見事に融合しているのが最大の魅力です。
また、今回ご紹介した作品はどれも比較的短い巻数で物語が完結(もしくは間もなく)しているため、「少年漫画のように何十巻も追いかける時間はなかなか取れないけれど、質の高い面白い漫画が読みたい」と願っている、忙しい親世代の方や社会人の方にこそ、ぜひ読んでいただきたいのです。


